Plenus 米食文化研究所

四季のTeishoku

季節ごとの旬を取入れて・・・

南北に長く、周囲を海に囲まれた日本では、春夏秋冬と呼ばれる四季のもとで、野と山と海の幸がもたらす季節の恵みを楽しむ食文化が発展しました。

また日本人は、古来より季節感を大切にしながら生活を育み、暮らしを彩っていくなかで、様々な暦を使ってきました。立春や夏至、秋分など季節の訪れを表現する「二十四節気」やより繊細に季節の移り変わりを表現した暦「七十二候」など、暦は季節を伝えるとともに農作業の目安としても利用され食文化に大きく関わってきました。

「四季のTeishoku」では、四季折々の食材が伝える季節感を楽しむことの魅力を、日本人の日常食である定食(Teishoku)で表現するとともに、現代に受け継がれる暦と食の関わりを紹介いたします。

Season Index

写真:鶏肉の味噌ソースがけ、芝海老の湯葉茶巾揚げ、野菜たっぷりのけんちん汁(厚揚げ入り)、千枚漬け、白ご飯

冬 Winter 2017

刺すようなぴりっとした空気に包まれる冬がやってきました。
冷たい風が吹きつけるこの季節は、厳しい冬を乗り切るためにたっぷりと栄養を蓄えた、滋味あふれる食材が登場します。

冬においしい食材をふんだんに取り入れた献立が並ぶ食卓は、寒空の中帰宅した家族の身体と心を芯からあたためてくれることでしょう。
おいしいお料理ができたら、それを引き立てる器にもこだわって、いつもと違う食卓の演出を楽しんでみてはいかがでしょうか。

冬の定食

あっさりといただける鶏肉を、白いごはんにぴったりの味噌ソースで仕上げた一皿を中心にした献立です。
主菜の付け合わせには、冬の野菜で彩りを添えました。
旬の根菜をふんだんに使ったけんちん汁は、おかずにもなるボリュームです。

鶏肉の味噌ソースがけ

柔らかく香ばしく焼き上げた鶏もも肉を、きりっとした味わいの赤味噌を使ったソースでいただくご飯が進む一品です。
付け合わせには、丸いかたちがかわいらしいサツマイモとレンコンを。
栄養たっぷりの芽キャベツ、紅色のラディッシュで彩りを添えました。

Recipe

材料

  • 鶏モモ肉2枚
  • 酒、塩少々
  • サラダ油
  • さつま芋
  • れんこん
  • 芽キャベツ
  • しいたけ
  • ラディッシュ

各適量

  • 赤味噌
    (仙台や越後など)
    大さじ2 (30g)
  • 砂 糖大さじ 2
  • みりん大さじ 1
  • マヨネーズ大さじ 1
  • ラー油適 量

作り方

  1. 鶏モモ肉は筋切りをして、酒で拭き、塩をふっておきます。
    温めたフライパンにサラダ油を入れ、鶏肉を皮目から焼きます。
    鶏肉の上にアルミホイルをのせ、その上に底の平らな鍋やフライパンを
    置き、中弱火で焼きます。7分くらいで火が通ったら、ホイルと鍋を外して、
    鶏肉をひっくり返し、焼き上げます。
  2. 野菜はお好みの大きさに切り、ラディッシュ以外をフライパンで焼きます。
    (さつま芋、れんこん、芽キャベツは下茹でしてもよい)
  3. ボウルに赤味噌を入れてよく攪拌し、砂糖、みりん、マヨネーズを加え
    かき混ぜ、最後にラー油を加えます。
  4. 鶏肉をお好みの大きさに切り、❷と共に盛り付け、❸のソースを添えていただきます。

芝海老の湯葉茶巾揚げ

写真:芝海老の湯葉茶巾揚げ

京都では、湯葉も日常の食卓に上ります。
粗みじんにした芝海老をよく練って小麦粉で滑らかさを、玉子でふんわり感を加え、湯葉で包んでからっと揚げました。
細く切った湯葉で結んでから揚げると、ほどけずそのままおいしくいただけます。

写真:野菜たっぷりけんちん汁(厚揚げ入り)

野菜たっぷりけんちん汁(厚揚げ入り)

冬においしい根菜をふんだんに使った、野菜からでるおいしいスープがごちそうの一品です。
大根、人参、里芋、こんにゃく、牛蒡、厚揚げ、椎茸の7種類の野菜が彩りよく入っています。

同じお料理でも器の演出で違ったものに。

主役のお料理を引き立てるのが器の役割です。
お料理の美味しさを際立たせる器選びで、舌だけでなく、目でも美味しさを味わうことができます。
同じお料理でも、器を変えると違った雰囲気になります。いろいろな器同士を組み合わせてみると、
その相性のよさに新しい発見が生まれることがあります。

素朴さを感じさせる和の器を中心に

主菜に選んだ角皿は、手仕事の素朴さを感じさせる和の器。鶏肉は斜めにそぎ切りにし、高さを出して立体的な盛り付けで、お料理を美しくいただくことができます。

写真:白地に灰色のて小さな点がまばらに散らばった慕容が入っている角皿に鶏肉の味噌ソースがけが盛り付けられている
写真:それぞれの器に今回の料理が盛り付けられている
写真:主菜用の白い角皿、副菜用は複数の色が使われている華やかな丸皿、香の物用は薄紅色の丸皿、ご飯用は器の淵から茶碗の中心に向かって、赤・青・緑・紺色のストライプが入っている、汁物用は濃いグレーのお椀
(1)主菜の器
手ひねりならではの素朴な味わいを感じる、モダンな和の器です。
どんなお料理も引き立ててくれる使いやすさが魅力です。
(2)副菜の器
食卓に華やかさを添えてくれる色絵のお皿です。表には撫子(秋)、裏には桃(春)の花が描かれているので、通年通して使える便利さがあります。
(3)香の物の器
真ん中に一輪の花が描かれた京焼のお皿です。薄紅色の釉薬をまとった、待ち遠しい春の気配を感じさせる器です。
(4)ごはんの器
麦藁手の京焼です。
白いご飯がおいしそうにみえる、温かみのあるお茶碗です。
(5)お椀
一見、金属にも見える光沢のある個性的な器です。
木の器に錫が塗られています。

和も感じさせる モダンな洋皿を中心に

主菜を盛りつけたのは、黒い個性的な大皿。
器に合わせて、鶏肉は四角く切り、フラットな盛りつけにしています。

写真:黒い丸皿に鶏肉の味噌ソースがけが盛り付けられている
写真:それぞれの器に今回の料理が盛り付けられている
写真:主菜用の黒い丸皿、副菜用は薄いピンク色の長方形の角皿、香の物用は薄い青緑色と紺色などで模様の描かれた角皿、ご飯用は濃い茶色など焼き物独特の数種類の色が混じったお椀、汁物用は真っ黒でお椀の淵から下まで直径が同じになっている
(1)主菜の器
モダンな雰囲気の黒いミート皿です。洋食器ですがマットな質感が和食にもよく合います。
(2)副菜の器
京焼の器です。個性が強すぎる器はお料理を選びますが、こちらのような上品で主張しすぎない色合いの器なら、どんなお料理も引き立ててくれます。
(3)香の物の器
九谷焼の四方皿です。九谷らしい色合いで描かれたデザインが、取り合わせのアクセントになる器です。
(4)ごはんの器
普段使いの焼締の器です。手になじむ大きさと重さ、手に触れた時の土の感触が特徴です。
(5)お椀
黒い拭き漆のお椀の左右に、斫り(角をつける加工)をつけたかたちが特徴です。

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