Plenus 米食文化研究所

日本の心研究所 弁当ライブラリー

「料理早指南」の弁当を再現してみました

料理早指南の中から、祭礼供養など多人数の時に銘々に作られた弁当『桧割籠』、花見の提げ重詰めの最上位のメニューを参考に、紅葉狩り用の提げ重を再現いたしました。中の具材も、料理早指南の料理法を出来る限り忠実に再現しました。
美しい彩りと盛りつけにも注目です。

監修 江原絢子氏 / 制作 赤堀博美氏

銘々弁当 桧割籠(ひわりご)

「銘々」とは、一人一人、おのおのという意味です。
「銘々弁当」とは、何人かで共有する重とは異なり、各自で食べる一人分の弁当を指します。檜(ひのき)などの白木の薄板で作られた、折り箱型の弁当箱に詰めます。

料理早指南

祭礼供養など多人数の節は桧割子割籠かけながしにする他但し□重也

再現料理 料理早指南

《上 段》

  • 鰆味噌焼き
  • 鮎ふし煮
  • ごぼう太煮
  • かまぼこ
  • れんこん
  • 豆 腐
  • すだれ麩
再現料理 料理早指南

《下 段》

  • 強飯 5個
  • 大根の浅漬け
  • しょうが甘酢漬け
  • さんしょの佃煮

花見の提げ重

「花見」と聞くと桜を思い浮かべますが、以前は「藤」「菊」「紅葉」とさまざまな花見が行われていたようです。江戸時代も、花見には花見弁当は欠かせないもので、日本酒とともに段重ねの重箱を格納できる「提げ重(さげじゅう)」に詰めて持ち運びました。

料理早指南
再現料理 料理早指南
初重詰め合わせ九種
  • かすてら玉子
  • わたかまぼこ
  • 玉 川
  • 海老の鬼殻焼き
  • 生たらこ煮
  • れんこん煮
  • ごぼう煮
  • うち銀杏
  • 長ひじき
二重引肴
  • むしがれい
  • 鯛の押し寿司
  • 甘酢しょうが
  • 干大こん
  • 甘露梅
再現料理 料理早指南
再現料理 料理早指南
三重
  • ひらめ さしみ
  • さより ほそつくり
  • 白髪大根
  • わかめ
  • 赤すみそしき
四重蒸物
  • 小豆鹿の子
  • わらびもち
  • 紅 餅
  • 薄皮まんじゅう
  • かるかん
再現料理 料理早指南
割籠
  • 松茸味噌焼き
  • 落花生
  • ほうれん草浸し
焼飯
  • 焼飯

食べる人を想い、盛りつけ、彩りの細部にまでこだわりを感じさせる携行食「弁当」。
"小さな箱庭"のように四季を楽しみ、その時々の旬である自然の恵みをいただくという、日本の食文化の魅力をコンパクトに表現したひとつの芸術品と言っても過言ではないでしょう。

400年以上も前から日本人の目を、舌を、そして心を楽しませてきた文化は、今や世界にはばたき、日本を代表する食文化のひとつとして定着しつつあります。ご紹介した「弁当の変遷」は現在に至るまでの過程でしかなく、まだまだ変化する可能性があり、これからも日本国内はもちろん、世界中で新しい形に進化していくでしょう。ただひとつ、いつの時代、どの国でも、弁当箱を開けたときの感動と喜びは永遠に変わらないのです。

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